
ぼくが、ずっと気に入って仕入れている『肉のヒライ』さんから、今日も美味しいお肉が届きました。
この画像は、牛ヘレ肉を一本丸ごと撮った時のものです。
ヘレという部位は構造上は『赤身』になるのに、絶品はもちろん、上品な柔らかさや繊細さがあるので、『奇跡の部位』だと言っても過言ではないと思っています。
牛自体が退化して(進化?)いくと、この部位は消えていってもおかしくないくらいの場所に位置していると思います。
この状態のヘレ肉は、脂やスジがまだついている状態です。
この状態から、皆様へお出しするステーキの形まで、下処理をしていきます。
ちなみに、ヘレ肉は牛一頭で2本取れます。一本約5〜6キロくらいでしょうか。
本当は一つ一つ、丁寧に作業をすすめていくのですが、今日は特別に、そのまま半分に切ったら どんな感じになるのかお見せしている次第です。
今回の牛ヘレ肉は、歩留まりが良いほうです。
牛も一頭一頭、生きているのでヘレ肉のサシや歩留まりも変わってきます。
ぼくたち料理人は生きている大切な命を、大事にしっかりといただくという気持ちを込めて料理していきます。
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こんな感じになっています。位置的に、ちょうど『シャトーブリアン』の部分になります。
霜降りも良いし、実に美味しそうです。 ヒライさんの目利きは、さすがプロですね。
処理をしたあとのスジなどは、自家製デミグラスソースを仕込む時などにキッチリと使います。
長時間煮込むことによって、野菜と溶け合って一体となり、独特のコクや風味が出てきます。
この仕上がっていくソースの過程をみるのも、料理の楽しみの一つです。
牛肉を処理をする時は何回しても、いつも緊張します。
高価なものだからということもありますが、昔、修行先で一番下っ端で働いていたとき
当然ですがお肉を触らせてもらえませんでした。
その仕事は先輩たちの世界のものだったのです。
その時のインパクトが強く脳裏に残っているのでしょう。ぼくにとって、思い出深い牛ヘレ肉です。
当店では、この状態から一定期間寝かせます。うまみをもっと強力にするために、熟成期間に入っていきます。
熟成された牛肉の美味しさは、鮮度の良い牛肉の美味しさとはまた別次元のものだと考えています。
当然、仕上がりは全く違うものになります。
そのように、手間暇かけて完成までの工程を進んでいくときが、とくにやりがいを感じます。